地震でドアが開かない時の対処法と予防策|地震保険は適用されない?

 

地震でドアが開かない時の対処法と予防策|地震保険は適用されない?

大地震が発生するとドアが開かないという事態が発生することがあります。マンションの高層階ではもちろんですが、戸建て住宅であっても家の中から脱出できなくなる恐れがあります。

戸建て住宅で、玄関ドアが開かない時の対処法と予防策を確認しておきましょう。また、地震保険での開かないドアへの補償の有無についても解説します。

地震でドアが開かなくなる理由

地震でドアが開かなくなる理由

地震の被害の大きさは、様々な要因によって変わります。

震度が同じであっても、地震動の振幅(揺れの大きさ)、周期(揺れが繰り返す時の1回あたりの時間の長さ)及び継続時間などの違いや、対象となる建物や構造物の状態地盤の状況により被害は異なります。

引用::国土交通省 気象庁震度階級関連解説表

地震が発生すると住宅に歪みや傾きが発生します。震度6以上の地震ではドアの枠が圧迫され歪む為、ドアの開閉ができなくなってしまうこともあります。

また、本震ではドアが開かなくなることはなくても余震によって揺れによる負担が蓄積され、ドアが開かなくなってしまうこともあります。

また、ドア枠の歪みは丁番を変形させることもあります。丁番とはドアの軸側に取り付けられている回転軸と羽根で構成された蝶のような形をした部品です。

ドアを開閉させる役目をすると同時に、ドアが垂れ下がって開閉しにくくなることを避け、正しい位置に固定させる働きをしています。ただし丁番が変形してしまうとその役割を果たせなくなってしまい、ドアが動かなくなってしまうこともあります。

地震でドアが開かない時の対処法

地震で閉じ込められた時に救助要請できる防災ホイッスル

 

 

まずドアが開かない状況を避けるために、地震が発生した際にとるべき行動の優先順位を確認しておきましょう。

地震の揺れを感じた時に玄関のドアを開ける

避難経路を確保するために、地震の揺れを感じたらすぐに玄関ドアを開けておくことが重要です。

玄関は他の場所に比べ地震に強い場所ですので、玄関から屋外への退避がしやすい状況がつくれます。

倒壊の恐れがある住宅は家の外の安全ゾーンへ退避する

住宅の耐震性の高さによって判断が分かれます。古い住宅であれば、外部の安全ゾーンに退避する必要があります。

ただし、地震発生時に2階にいた場合、古い住宅の1階は倒壊する危険性がある為、2階に留まった方が安全な場合があります。

玄関ドアが開かなくなった場合は他の経路を探す

室内ドアが開かなくなった場合には、高窓を開ける時に使うポールなどを利用してこじ開けられる可能性もありますが、玄関ドアは重く頑丈なので、こじ開けられる可能性はほとんどありません。

その為、玄関ドアが開かなくなった場合には、勝手口ドアや掃き出し窓で開閉できる出入り口を、出入り口も開閉できなくなっていたら窓をチェックします。

閉じ込められた場合は外部に知らせる

出入り口からも窓からも脱出できず閉じ込められてしまった場合や、身動きができなくなってしまった場合には、外部に閉じ込められていることを防災用ホイッスルなどで知らせましょう。

ただ、防災用ホイッスルがない、又は用意してあったが家具が転倒して取り出せなくなってしまったということも起こります。

その場合には、硬い物で壁やドアをたたいて大きな音を出す、夜間であれば懐中電灯の明かりを窓から外に向かってあてるなどの方法を取ります。

震度による室内での地震被害の違い

地震の揺れと被害の大きさの関係

戸建て住宅の室内で発生する被害は、住宅の耐震性と震度によって変わってきます。ドアが開かなくなるという現象は立っていることが困難になるほどの揺れになる震度6弱の地震が発生した際におこることが多くあります。

同時に木造住宅の場合は、壁などのひび割れや亀裂が多くなり、瓦が落下したり建物が傾いたり、倒れてしまったりします。

20191月に発生した熊本県熊本地方の地震が、震度6弱(マグニチュード5.1)の地震にあたります。

20241月に発生した石川県能登地方輪島の東北東30km付近の地震は最大震度7でしたが、その後の能登半島沖で発生した地震が震度6弱でした。

出典:総務省消防庁 平成28年版 消防白書 附属資料30 過去5年間に発生した最大震度6弱以上を観測した地震による都道府県別被害状況

この他にも室内では震度によって様々な被害が発生する恐れがあります。気象庁震度階級関連解説表で震度別の被害状況を確認しておきましょう。

震度による人の体感・行動、屋内の状況の違い

震度階級 人の体感・行動 屋内の状況
人は揺れを感じないが、地震計には記録される。
屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。
屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。 電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れる。
屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。歩いている人の中には、揺れを感じる人もいる。眠っている人の大半が、目を覚ます。 棚にある食器類が音を立てることがある。
ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが、揺れを感じる。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。 電灯などのつり下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てる。座りの悪い置物が、倒れることがある。
5弱 大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。 電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。座りの悪い置物の大半が倒れる。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。
5強 大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。 棚にある食器類や書棚の本で、落ちるものが多くなる。テレビが台から落ちることがある。固定していない家具が倒れることがある。
6弱 立っていることが困難になる。 固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。ドアが開かなくなることがある。
6強 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。 固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。
固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある。

出典:国土交通省 気象庁震度階級関連解説表

木造戸建て住宅での地震対策

木造戸建て住宅での地震対策

新築する際に耐震性の高い住宅にすることが理想的ですが、築年数が長い住宅では新築時に現在ほど耐震性を高める施工がされていなかった可能性もあります。

旧耐震基準から現在の新耐震基準には大きな違いがあることは多くの方がご存知だと思いますが、その後も大きな地震がある度に耐震基準は改正されています。そしてそれに伴って住宅の耐震技術も進化し続けています。

その為、新耐震基準になってから建築した家だから絶対に安全であるとは限りません。耐震診断をして必要があれば耐震改修をしておくことが大切です。

また、ドアが開かなくなるリスクに対しては、老朽化したドアほどリスクが高い為、新しい玄関ドアへの交換も効果的です。

築年数が長い住宅には、大地震が発生する前から住宅の重みや過去の地震の揺れから受けた負担の蓄積で、建付けが悪くなっている窓やドアが複数個所発生していることが多くあります。

そのような状態になっている住宅には大地震の揺れを受けると、窓やドアが開かなくなり閉じ込められる恐れがあります。

戸建て住宅にはマンションのように耐震用玄関ドアがある訳ではありませんが、新しい玄関ドアに交換すると交換時に建付けの悪さが解消されるので、開かなくなるリスクを抑えられます。

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開かなくなったドアは地震保険の対象外

地震保険の補償対象

地震による全損と半損、一部損壊は地震保険の補償の対象ですが、開かなくなったドアは補償の対象にはなりません。

また、地震保険と同時に契約する火災保険でも、台風などの自然災害による被害は補償の対象になりますが、開かなくなったドアは対象外です。

自然災害による被害とは、風で硬い物が飛んできて袖ガラスを割ってしまったというような事故を指します。

大地震で閉じ込められないようにするには、地震発生時にドアを開けて避難経路を確保するのが基本です。ただ、その前にドアが開かなくなるという状況を回避できるようにしておくことが大切です。

その為、玄関ドアや窓の交換をして窓枠の歪みを直しておくことも、地震への備えとして役立ちます。もしも玄関ドアの開閉がし難い、鍵のかかりが悪いというような状態になっている場合、建付けが悪くなっている可能性があり、閉じ込めの危険性に繋がる恐れがあります。

そのような心配がある場合には、お気軽にご相談ください。

 

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